風疹が大流行!女性は特に注意が必要!

国立感染症研究所によると、2019年の風疹累積患者の報告数は10月27日時点で2,245人にも及んでいるようだ。

2013年に大流行(14,344人)して以降、2014年は319人、2015年は163人、2016年は126人、2017年は91人と減少傾向にあったが、2018年に2,946人と急増した。

2019年の患者数を地域別に見ると、一番多いのは東京都の840人で、続いて神奈川県の286人、千葉県195人、埼玉県195人、大阪府126人となっている。

地方別に見ると関東地方の1,555人(全体の69%)が最も多く、続いて近畿地方245人、九州地方167人、中部地方118人、中国・四国地方94人、北海道・東北地方66人となっている。

報告がない県は、青森県と高知県の2県だけとなっている。

風疹ウイルスに感染すると、発熱や発疹、リンパ節腫脹などの症状が現れるが、症状が現れないケースもあるようなので、感染している事に気付かない場合もある。

また、医師の診察を受けても、所見だけでは風疹と判断するのは難しい。

更に、風疹は風疹ウイルスに感染している人の咳やくしゃみで広がり(飛沫感染)、周りの人にも移ってしまう。

熱が下がっても、発疹がキレイに消えるまでは他人に移る可能性がある。

もしかすると、自分の知らない間に風疹ウイルスをまき散らしている可能性もある。

そこで、ここでは風疹とはどのようなものなのか、風疹の最大の問題は何か、どのように予防すればいいのかを説明していこうと思う。

 

 


【風疹とは?】

 

風疹は、発熱・発疹・リンパ節腫脹(しゅちょう)などを特徴とするウイルス性の発疹症だ。

風疹ウイルスは、トガウイルス科ルビウイルス属に属するエンベロープ(インフルエンザウイルスなど一部のウイルス粒子に見られる膜状の構造)を持った、直径が60~70nmの(+)鎖の一本鎖RNAウイルスだ。

血清学的には亜型のない単一のウイルスで、E1タンパク質の遺伝子分析により13種類の遺伝子型に分類されている。

2004年の流行時は、1jという種類が主流だったが、2012年以降は国内では検出されていなかった。

しかし、2011年以降、南アジア・東アジア・東南アジアで流行していた2Bと1Eが、日本国内に侵入し、定着し拡大している。

 

「風疹の症状」

風疹ウイルスに感染すると、14~21日(平均16~18日)の潜伏期間を経て、発熱・発疹・リンパ節腫脹の症状が現れるが、発熱は風疹患者の約半数にしか現れない。

重篤な合併症を併発する場合もあれば、症状が現れない場合(15%ほどの人が症状なし)もあり、患者が訴える症状や、医師の診察による所見だけでは風疹と判断するのが困難な疾患だ。

また、溶血性連鎖球菌による発疹・伝染性紅斑・修飾麻疹・エンテロウイルス感染症・伝染性単核球症などと似た症状を示す発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が必要となるため、診断を確定するためには検査室診断が必要になる。

ほとんどの場合、発疹は淡紅色で小さく、皮膚面から少し隆起しており、全身に広がっていく。

通常は色素沈着や落屑(らくせつ:皮膚の表層が大小の角質片となりはげ落ちること)は見られないが、発疹が強い場合はこれらを伴う場合もある。

リンパ節は、発疹が現れる数日前から腫れ始め、3~6週間くらい持続する。

カタル性炎症(粘膜の滲出性炎症)や目の充血も伴うが、軽症で済む。

風疹ウイルスの排泄期間は、発疹出現の前後1週間ほどとされているが、解熱すると排泄されるウイルス量は激減し、急速に感染力は弱くなる。

基本的には予後が良好な疾患だが、高熱が続いたり、血小板減少性紫斑病や急性脳炎などの合併症で、入院が必要な場合がある。

成人の場合、手の指のこわばりや痛みを訴える事が多く、関節炎も伴う場合があるが、ほとんどが一時的なものである。

しかし、成人は発熱や発疹の期間が小児に比べ長く、関節痛が酷い場合もあるため、1週間以上休まなければならない場合もある。

 

「風疹の最大の問題」

風疹の最大の問題は、風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染した場合、生まれてくる子供が先天性の風疹症候群を発症する可能性がある事だ。

妊娠中の感染期間によって、重症度など症状は様々で、先天異常として発生するものには先天性心疾患(動脈管開存症が多い)や難聴、白内障、色素性網膜症などが挙げられる。

また、先天異常以外にも新生児期に現れる症状には、低出生体重・血小板減少性紫斑病・溶血性貧血・黄疸・間質性肺炎・髄膜脳炎などがある。

更には、進行性風疹全脳炎・糖尿病・精神運動発達遅滞などが見られる場合もある。

 

 


【風疹の予防】

 

風疹を予防するには、風疹ワクチンの予防接種を行うのが有効とされている。

風疹ワクチンは、弱毒化を行った種ウイルス(弱毒株ウイルス)を培養・増殖させ、凍結乾燥したものだ。

弱毒株ウイルスを接種すると、通常の風疹感染とは違い、ほとんど症状は出ないが、風疹ウイルスに対する免疫を得る事ができる。

 

「女性の場合」

妊婦は、生まれてくる子供が先天性風疹症候群の障害を持つ事がないように、そしてそのような心配をしなくて済むように、あらかじめ予防しておく事が大切だ。

予防接種は、風疹の自然感染による合併症の予防にもなり、大人が感染しても重症化を防ぐ事もできる。

また、多くの人が予防接種を受ける事で、個人が風疹予防できるだけでなく、他の人に風疹を移す事も少なくなるため、社会全体の風疹予防にも繋がる。

ただし、女性が風疹ワクチンの予防接種を受ける場合は、妊娠していない時期にワクチン接種を行い、その後2ヶ月間の避妊が必要となるようだ。

しかし、風疹ワクチンはとても安全なワクチンなので、妊娠中に風疹ワクチンを接種した事で胎児に障害が出たという報告はこれまで世界的にもないが、その可能性は理論的に完全には否定できないようなので注意が必要となる。

※抗体検査を受け、十分高い抗体価があると認められた場合は、予防接種を受ける必要がなくなる(男性も同様)。

 

「男性の場合」

予防接種を受けずに自然感染した場合、妊娠中の妻や会社の同僚に移してしまう恐れがある。

そうなれば、自分の妻や会社の同僚が生んだ子供が、先天性風疹症候群と診断されてしまう可能性がある。

しかし、予防接種を受ける事で風疹の合併症から自分の身を守り、家族や周りの人への感染も予防でき、将来生まれてくる子供を先天性風疹症候群から守る事もできる。

 

「小児の場合」

2005年度までは、定期の予防接種として生後12ヶ月~90ヶ月未満の小児に1回風疹ワクチンを接種していたが、2006年度からは麻疹と共に2回接種制度が導入され、1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)に原則として、麻疹風疹混合(MR)ワクチンが接種されるようになっている。

しかし、2007年から10~20代を中心とした麻疹の全国流行により、厚生労働省から「麻疹に関する特定感染症予防指針」が告示され、風疹と麻疹は共に対策をとるべき疾患として、2008~2012年度までの5年間、第1期と第2期に加え、中学1年生(第3期)及び高校3年生相当年齢の者(第4期)に定期接種として、2回目のMRワクチンを接種する事になっている。

2013年度からは再び、1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)に原則として、麻疹風疹混合(MR)ワクチンが接種されるようになっている。

 


【風疹予防接種の費用】

 

1歳児(第1期)と小学校入学前1年間の幼児(第2期)の定期接種の場合は、多くの自治体で補助する事になっているので、原則的には無料か若干の負担で予防接種が受けられるようになっている。

それ以外の年齢の場合は自己負担となる。

医療機関によって料金設定が異なるので、一度医療機関に問い合わせてみるといいだろう。

 

 


【風疹が大流行している原因】

 

風疹は一度かかると二度とかからなくなる。

これは風疹ウイルスに感染する事で、体の中に抗体ができるからだ。

昔は、小児のうちに風疹に感染し、自然に免疫を得る事が普通だったが、風疹ワクチンの接種率が向上した事で、風疹に自然に感染する人が少なくなってきている。

1990年(平成2年)4月2日以降に生まれた人は、公費で2回風疹ワクチンを接種する機会があったが、1962年度(昭和37年)から1989年度(平成元年)に生まれた女性と、1979年度(昭和54年)から1989年度(平成元年)に生まれた男性は、風疹ワクチンの接種は受けていても1回となっている。

そして、1979年(昭和54年)4月1日以降に生まれた男性は、風疹ワクチンを接種する機会すらなかったので、十分な免疫を持っていない人達が蓄積したと考えられている。

また、風疹ワクチンの接種率向上で風疹患者が減り、風疹ウイルスにさらされる機会が減った事で、幼少時に風疹ワクチンを1回だけ接種した人は免疫が強化されておらず、時間と共に免疫が徐々に弱まってきている人がいた事も流行の原因だと考えられている。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です