尿1滴で15種類のがんの早期発見ができるN-NOSEが実用化

2020年1月から尿1滴で、がんに掛かっている可能性を判定できる「N-NOSE(エヌ・ノーズ)」という検査が実用化される。

検査精度は86.8%もあり、15種類のがんリスクを判定する事ができる。

更に、ステージ0やステージⅠの超早期のがんでも85%の確率で判定する事ができる。

価格も1回9,800円(税抜)と安く、尿を採取するだけなので、身体への負担もない。

この検査が全国の病院で受けられるようになれば、胃カメラやバリウム検査などのわずらわしい検査を受ける必要もなくなるかもしれない。

では一体、尿1滴でどのようにがんリスクを判定し、どの種類のがんのリスクを判定する事ができるのだろうか。

 


【N-NOSEの検査方法】

 

がんリスクの判定には、線虫のCエレガンスという土の中にいる無害の体長1mmほどの糸のような虫が使用される。

このCエレガンスは、ニオイを感じ取るセンサーを約1,200種類(人は約400種類、犬は約800種類)も持ち、嗅覚は犬より優れている。

N-NOSE検査は、このCエレガンスの嗅覚を利用して行われる。

Cエレガンスという線虫の画像
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」

 

検査方法はとても簡単で、下画像のように、がん患者の尿とCエレガンスをシャーレ(ペトリ皿)に置き、30分待つだけ。

がん患者の尿とCエレガンスをシャーレに置いた画像
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」

 

がん患者の尿には独特のニオイがあり、Cエレガンスはそのニオイを好むため、どんどんがん患者の尿に集まってくる。

逆に、Cエレガンスは健常者の尿のニオイを嫌うため、健常者の尿には集まらない。

そして、尿に集まった線虫と離れた線虫の数を数え、がんに掛かっている可能性を判定する。

 


【N-NOSE検査を生み出したのは誰?】

 

広津崇亮さん
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」

 

N-NOSE検査を生み出したのは、HIROTSUバイオサイエンス社長の広津崇亮(ひろつ たかあき)さんという人物で、東京大学時代から25年間に渡り、線虫の研究をしている生物学の研究者だ。

広津さんが東京大学大学院で研究をしていた27歳の時、広津さんの論文が世界的に権威のある科学誌「ネイチャー」に掲載された。

その論文は、「線虫が分子レベルでニオイをかぎ分けている」事を証明したものだった。

広津さんは、線虫の嗅覚をがん検査に活かそうと思い、2016年にHIROTSUバイオサイエンスを起業した。

N-NOSE検査は、ノーベル賞レベルの研究のようだ。

 


【N-NOSE検査の当初の大きな課題】

 

技術的に間違いないところまでこぎ着け、2020年1月の実用化を目指して研究を続けていたが、1つ大きな課題が残っていた。

それは線虫の数を数える作業だ。

当初は、下画像のように人間が目で確認し、1匹1匹数えていた。

線虫の数を手動で数えている画像
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」

 

しかし、それでは1日8時間で5検体の検査がやっとだった。

この課題を解決するためには、線虫の数を自動で数えられる装置の開発が必要だった。

 

この装置の開発に名乗りを上げてくれたのが、アルファ技研や大和酸素工業などの愛媛の中小企業チームだった。

テレビの報道を見て、「これは凄い!」と思い、全く面識のない広津さんにメールを送り、「何かお役に立てませんか」と自ら協力を申し出てくれたのだ。

そして、オール愛媛で作り上げた装置が完成した。

線虫を自動で測定する装置
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」
シャーレの線虫を自動で測定する装置
引用:テレビ東京「ガイアの夜明け」

 

線虫と尿を入れたシャーレを置き、一定時間が経つと自動的に解析してくれる優れものだ。

一瞬で画像を識別し、シャーレの線虫を測定してくれる。

この間わずか1秒。

これにより、1日8時間で100検体(手動の20倍)の検査が可能となった。

 


【N-NOSE検査で判定できるがんの種類】

 

N-NOSE検査で判定できるがんは、次の15種類となっている。

胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、子宮がん、食道がん、胆嚢がん、胆管がん、腎臓がん、膀胱がん、卵巣がん、口腔・咽頭がん

 

ただし、現状では、この内のどれかに罹患しているかどうかが分かるだけで、どの種類のがんに罹患しているかを特定する事はできない。

HIROTSUバイオサイエンスは、2年後をめどに、がんの種類の特定の実用化も目指している。

 


【検査の流れ】

 

N-NOSE検査の流れは次のようになっている。

1.N-NOSE検査取扱施設に検査の申込みを行う

2.N-NOSE検査取扱施設で採尿を行う

3.N-NOSE検査センターで検査を実施する

4.当該病院から検査結果を報告する

 

検査結果を受け取るまでにかかる日数は、2週間から最大1ヶ月となっている。

 


【最後に】

 

現状の画像検査では、約1cmくらいの大きさにがんが育たないと、がんを発見する事が難しい。

一番有効な検査がPET検査だと言われているが、とても高額なため、毎年受けるとなると金銭的な負担が大きくなり、検査時間もかかり、どこの病院でも受けられる訳ではない。

悪性度の高いスキルス性胃がんに関しては、胃カメラでも発見する事が難しく、発見された時には進行してしまっている場合が多いようだ。

しかし、N-NOSEは、検査費用も安く、身体に負担をかけずに、尿1滴でステージ0やステージⅠの超早期がんでも発見する事ができるため、全国で実用化されれば多くの人の命を救う事ができるかもしれない。

また、東芝でも血液1滴でステージ0からの13臓器のがんを99%の確率で識別できる検査の研究が進められており、数年以内には実用化されるかもしれない。

これらの研究のお陰で、もしかすると近い将来、がんが怖くなくなる時代がやってくるかもしれない。

 

 

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