【原町市女性失踪事件】
原町市女性失踪事件は、1994年(平成6年)に福島県原町市で発生した失踪事件である。
1994年2月19日、福島県原町市(現在の南相馬市)内にある歯科医院で、歯科助手兼事務員をしていた増山ひとみさん(当時21歳)が勤務先からの帰宅途中に行方不明になった。
増山さんはこの日、午前中に仕事を終え、午後1時10分頃に車で歯科医院を出た後に行方が分からなくなった。
3週間後に結婚する予定だったため、この日が最後の出勤日で、職場の同僚達から「幸せになってね」と言われ花束も貰っていた。
翌日20日、同市内にあるコンビニエンスストア裏の空き地に、増山さんが乗っていた黒色のスズキのアルトワークスが放置されているのが発見された。
この場所は、職場から北に約500mほどの所で、職場のすぐ近くだった。
車にはカギが掛かっており、車内には増山さんの財布やジャケット、バッグなどの所持品と貰った花束が残されており、バッグの中には結婚指輪も入っていた。
増山さんには家出をする理由がなく、免許証や保険証、現金などの所持品も全て残されていた事から、警察は何らかの事件に巻き込まれた可能性もあると見ている。
「失踪前から失踪当日までの出来事」
・増山さんが婚約して以降、自宅に毎晩のように無言電話が掛かってきていた。
しかし、増山さんの父親によると、増山さんが失踪したのと同時に、無言電話が掛かってこなくなったという。
・車に傷をつけられたり、誹謗中傷する言葉の落書きをされるなどの被害に遭っていた。
・発見された増山さんの手帳に、1月25日に「〇〇という女からTel」という内容の知らない女性に関するメモが残されていた。
・失踪当日、職場に若い女性から「増山ひとみさんという方はいますか」という電話が掛かってきており、増山さんはこの女性と時計を見ながら話していたという。
職場の同僚によると、増山さんは電話の相手と待ち合わせをしていたように見え、あまり親しい間柄ではないと感じたという。
後の調べで、この電話の相手は元婚約者の元愛人だった事が分かっており、この日が初めての電話ではなかったようだ。
「元婚約者の行動」
増山さんは失踪の2週間前に元婚約者と結納を済ませていた。
しかし、増山さんが失踪した事にショックを受けているハズの元婚約者は、失踪した増山さんを積極的に捜そうとはしていなかったようだ。
元婚約者は失踪について、「彼女は自分の意志で失踪したのだと思う。彼女を探す理由はない。」と発言している。
更に、元婚約者は以前にトラブルがあったとされる元愛人とよりを戻し、約半年後に結婚している。
「失踪後に掛かってきた不審な電話」
増山さんが失踪してから約1年後の1995年1月4日、増山さんの実家に増山さん本人を名乗る女性から不審な電話が掛かってきた。
増山さんの家族は、不審な電話を録音する習慣があったため、電話の内容は全て録音されていた。
この電話に出たのは増山さんの妹で、会話は以下のようなものだった。
・増山さんの妹「はい、増山です。」
・増山さんを名乗る女性「もしもし、お姉ちゃんだよ。」
・増山さんの妹「はい?」
・増山さんを名乗る女性「お姉ちゃん。」
・増山さんの妹「誰ですか?」
・増山さんを名乗る女性「お姉ちゃんだよ。」
・増山さんの妹「どちら様ですか?」
・増山さんを名乗る女性「ひとみです。」
・増山さんの妹「は?」
この後、電話は切れた。
警察がこの電話について調査したところ、同一局内の地元の公衆電話から掛けられていた事が分かった。
増山さんの妹も両親も、増山さんの声ではないと断言している。
誰が何のために掛けたのかは分かっていないが、電話の相手は当時50歳以上の女性と見られ、地元の福島県のなまりのある喋り方だったようだ。
地元の人間が掛けたと見られているが、この人物の特定には至っていない。
「捜査状況」
この事件は、テレビなどでも情報提供を呼び掛けていたが、未だ有力な情報は得られておらず、増山さんの行方も分かっていない。
増山さんの家族は現在も増山さんを捜している。
「増山さんの情報」

・名前:増山ひとみさん
・生年月日:昭和48年2月5日(当時21歳)
・身長:158cmくらい
・当時の体型:瘦せ型
・体の特徴:両頬にえくぼ、右の鼻もとにホクロがある
・当時の服装:胸に「BENETON」の文字の入った灰色のトレーナー、紺色のジーパン、リーガル製のベージュ色と黒色の革靴