11月から流行しているインフルエンザだが、今月10日午後1時50分頃、広島市で12歳の男子中学生が自宅マンションの12階から転落し、死亡する事件が発生した。
この男子生徒はインフルエンザに掛かっており、インフルエンザの薬も服用していた。
事件当時、母親は自宅にいたが、息子の転落には気付いておらず、駆け付けた消防隊員により、その場で死亡が確認された。
医師によると、若い10代くらいの子供はインフルエンザに掛かった後に、異常行動を起こすという事がよく知られているようだ。
また、どの薬を飲んでも飲まなくても、異常行動を起こす可能性があるようだ。
厚生労働省が発表したデータによると、突然走り出したり、飛び降りたりなどの異常行動を起こしたインフルエンザ患者の報告数は、2017~2018年の流行シーズン中に92件となっている。
その内訳を見ると、どの種類の薬を飲んでも、また、薬を飲まなくても異常行動が起きている。
また、異常行動が多く見られる年齢は7~13歳で、性別の発生割合(2017~2018年のデータによる)は男子が63%、女子が37%となっており、男子が圧倒的に多い。
目次
【発熱から異常行動発現までの日数】
厚生労働省の2017~2018年のデータによると、発熱から異常行動が起こるまでの日数は、
・発熱後1日以内 ⇨ 24人(26.09%)
・2日目 ⇨ 46人(50%)
・3日目 ⇨ 20人(21.74%)
・4日目以降 ⇨ 2人(2.17%)
となっており、2日目が特に多い事が分かる。
また、92人中、走り出したり飛び降りたりした子供の人数は、
・発熱後1日以内 ⇨ 16人(32%)
・2日目 ⇨ 26人(52%)
・3日目 ⇨ 7人(14%)
・4日目以降 ⇨ 0人(0%)
となっており、異常行動を起こした内の約53.3%が、走り出したり飛び降りたりなどの行動をしている。
【異常行動の分析】
「ワクチン接種有無の異常行動発生率」
ワクチン接種無しの場合と1回接種の場合、2回接種の場合の異常行動発生率は、
・接種なし ⇨ 68%
・1回摂取 ⇨ 13%
・2回接種 ⇨ 19%
となっており、ワクチン接種無しの子供に異常行動が圧倒的に多い事が分かる。
「異常行動は睡眠とも関係がある?」
厚生労働省の2017~2018年のデータによると、睡眠から覚めて直ぐに異常行動を起こしたという割合は61%となっており、異常行動を起こした子供の半数以上が睡眠から覚めて直ぐに異常行動を起こしている。
「確認されている異常行動の種類」
・突然走り出す
・飛び降り
・会話中に突然話が通じなくなる
・怯え・恐慌状態
・無いものが見えるという
・激しいうわ言・寝言
・わめく・泣き止まない
・暴力・興奮状態
・はねる
・徘徊する
・無意味な動作を繰り返す
「重度の内の走り出す・飛び降りのみの分析」
厚生労働省の2017~2018年のデータによると、重度の内の「走り出す・飛び降り」のみを年齢別に見た場合、52人中一番多かったのが9歳の10人で、次いで13歳の7人、10歳・12歳がそれぞれ5人ずつ、4歳・7歳がそれぞれ4人ずつとなっている。
【異常行動の対策】
飛び降りなどの万が一の事故を防ぐために、小児や未成年者に対しては、インフルエンザと診断され治療が開始された後は、少なくとも2日間は保護者が小児・未成年者を1人にしないよう配慮する事が重要となる。
また、ワクチンを1回摂取している場合の異常行動発生率は13%(接種無しの場合の異常行動発生率は68%)と低いので、ワクチンを1回摂取する事で異常行動防止に繋がるかもしれない。
どうしても付きっきりが無理な場合は、ベランダの無い部屋に子供を寝かせたり、窓に格子が付いている部屋に寝かせたり、1階で寝かせるなどの方法も、飛び降りなどの事故防止に繋がるのではないだろうか。