イランの報復攻撃でなぜ米軍に犠牲者が出なかったのか?

イランは、革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍に殺害された事に対する報復として、8日未明、イラクにある駐留米軍基地2ヶ所を射程約500kmの国産短距離弾道ミサイル「ファテフ313」などで攻撃した。

これに対し、トランプ大統領は、米東部時間8日午前(日本時間9日未明)に声明を発表し、イランの攻撃で米軍将兵に死者はいなかったと説明した。

米メディアは、イランから米国側に事前に警告があったと伝えており、CNNテレビによると、イランはミサイル攻撃を事前にイラク政府に伝えていたようだ。

また、トランプ大統領は、イランの核保有を許さないとの立場を改めて示し、イラン指導部に対し、「強力な制裁を科し、イランが態度を改めるまで続ける。」と述べたが、一方でイランに対し軍事力を用いたくはないとも表明した。

更に、米国防総省は、反撃方法を精査すると共に、域内の米国人や同盟・友好国を守るために、あらゆる必要な措置を取ると発表した。

イラン側もイラクにある駐留米軍基地2ヶ所を攻撃後、戦争は望んでいないとの姿勢を強調しており、ザリフ外相はツイッターで、「均衡のとれた自衛措置を実行し、終了した。」と述べている。

しかし、イランの革命防衛隊幹部は今回の攻撃を「第1段階」だとしており、第2段階、第3段階の挑発や攻撃が行われる可能性はある。

ロウハニ大統領の顧問はツイッターで、「米国が更にイラン側を攻撃すれば、地域で全面戦争が起きるだろう。」と述べ、米国を牽制している。

 

イランの報復攻撃による米軍駐留基地の被害状況が、人工衛星の画像により明らかになった。

下の画像は、その被害状況が分かる画像で、左半分が被害前の画像、右半分が被害後の画像となっており、赤丸の部分が被害を受けた場所だと思われる。

イランの報復攻撃による米軍駐留基地の被害前と被害後の画像
引用:CNN.co.jp

 

トランプ政権は、2018年5月にイラン核合意からの離脱を一方的に宣言し、イランに対する経済制裁を復活させ、ミサイル開発や武装勢力支援の停止を含む新合意を結ぶようイランへの圧力を強めてきたため、イランは核合意の履行義務を段階的に停止し、緊張が高まっていた。

 

イランによるミサイル攻撃は、ソレイマニ司令官の葬儀が終了した直後とされ、イラク時間の8日午前1時半頃に始まったが、イラン領内からのミサイル攻撃は異例の事だ。

イランの最高指導者ハメネイ師は8日、「米国に平手打ちを食らわせた。米国は中東から去るべきだ。」と強調している。

イランの革命防衛隊は、米国に出撃拠点を提供している国にも報復すると警告し、米国の後ろ盾を受けているイスラエルを攻撃対象とする可能性も示唆している。

一方、トランプ大統領は7日、「ソレイマニ司令官は米権益などへの大規模な攻撃を計画していた。」とし、今回の殺害は正当だと主張している。

 

イラン側は今回のミサイル攻撃で、米兵ら80人を殺害したと主張しているが、その根拠は明らかにしていない。

一方、米国側は米軍将兵に死者はいなかったと説明しており、双方の説明に食い違いがある。

どちらが本当なのかは定かではないが、イランが事前にミサイル攻撃を伝えていたのであれば、米国は事前に米兵を非難させていたと考えられるので、死者は本当にいなかったのかもしれない。

イランのメディアは、今回のミサイル攻撃で「米部隊側の80人が死亡、200人が負傷した。」と伝えているが、これはイラン国内向けの政治的な宣伝だと見られている。

イランは国民の手前、報復しない訳にはいかなかったため、米国に事前に伝え、双方合意の上での攻撃だったのかもしれない。

つまり、今回の「殉教者ソレイマニ作戦」という報復攻撃は、出来レースだったという事なのだろうか。

とりあえず全面戦争は回避となったが、米国の追加制裁の内容によってはイランの更なる報復も考えられる。

しかし、戦争は始めるより終わらせる方が遥かに難しい事を、お互い十分に理解しているだろうから、そう簡単には全面戦争にはならないだろう。

だが、本当に全面戦争となれば日本にとっても対岸の火事ではないので、今後の動向に注目したい。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です