京急線事故は防げていたかもしれない?

国土交通省の分析によると、2015年度までの5年間の間に、踏切内で列車と自動車が起こした衝突事故が633件あり、その内の48.3%の車を60歳以上が運転していた事が6日分かった。

国土交通省の資料によると、踏切内の衝突事故633件の内、60~79歳が自動車を運転していたケースが250件で、80歳以上が56件だった。

9月5日に京急線で発生した列車とトラックの衝突事故も、トラックを運転していたのは67歳の男性だった。

また、遮断機と警報機がある踏切で起こった自動車との衝突事故を原因別に分析したところ、最も多かったのは「自動車の踏切内での停滞」だった。

これは自動車が踏切内に入り、出る前に遮断機が降りてしまったり、前後の渋滞などにより踏切内に留まってしまう場合を意味する。

 

国土交通省は分析結果について「一般論で言えば、高齢になるほど判断力が落ちる。高齢者が運転する車による事故の多さは統計からも出ている」とし、踏切内に保安設備を設置する事が今後の対策として重要だと指摘している。

京急線で発生した衝突事故では、障害物検知装置という保安設備に焦点が当たっているようだ。

障害物検知装置とはセンサーが踏切内の障害物に反応し信号を点滅させ、それを見た列車の運転士が手動でブレーキをかけ列車を踏切手前で停止させる仕組みだ。

京急線事故の列車の運転士は、信号を見て急ブレーキをかけたが間に合わなかったという。

京急線には障害物検知装置が作動しても、列車に自動的にブレーキをかけるシステムは導入されていない。

自動ブレーキシステムの導入を求める声もあるようだが、国土交通省は「まず原因を把握しなければ」と話しているという。

 

そこで今回は、京急線に列車の自動ブレーキシステムが導入されていれば、衝突事故を防げていたのか調べてみた。

 


【障害物検知装置とは?】

 

まず、障害物検知装置とはどのような装置なのかを調べてみた。

障害物検知装置とは、踏切内に停滞した自動車などの障害物を検知し、自動的に列車の運転士に知らせる保安装置だ。

そして、障害物検知装置には次の3種類があるようだ。

 

1:LD式障害物検知装置

LD式障害物検知装置の図
引用:JR西日本

発光器と受光器の間の光軸が遮られると、障害物を検知する仕組みになっている。

 

2:ループコイル式障害物検知装置

ループコイル式障害物検知装置の図
引用:JR西日本

踏切内に埋め込まれたコイルの上に、金属の塊(自動車程度の大きさ)があるときに検知する仕組みになっている。

 

3:3次元レーザーレーダ式障害物検知装置

3次元レーザーレーダ式障害物検知装置の図
引用:JR西日本

踏切の近くに設置したレーザーヘッドから照射したレーザ光の反射により、踏切上の障害物を連続的に検知する仕組みになっている。

 

京急線にどのタイプの障害物検知装置が設置されているかは不明だが、これらの装置で全ての障害物を検知できる訳ではないようなので、「危険!」と感じたら迷わず非常停止ボタンを押すか、発炎筒で列車の運転士に危険を知らせる必要があるようだ。

 


【自動列車停止装置】

 

自動列車停止装置(Automatic Train Stop device)はATSとも呼び、列車が停止信号に接近すると、地上からの制御情報により運転室内に警報ベルを鳴らして運転士に注意を促したり、自動的にブレーキをかけて、列車を停止信号の手前で停止させる装置のようだ。

自動列車停止装置の写真
引用:JR西日本

上図のように線路にATS-SWやATS-Pという装置を設置し、列車の速度を常にチェックし、制限速度を超える恐れのある場合に自動的にブレーキをかけ、列車を減速させたり停止させるようだ。

停止信号の他にも、カーブや行き止まり線の手前に設置しているようだ。

 


【結論】

 

今回の事故は、自動列車停止装置が導入されていれば防げていたかもしれない。

しかし、自動列車停止装置がなくても検知装置や専用の信号機が正常に作動すれば、事前に危険を運転士に知らせる事は出来るようになっている。

京急は事故前に、列車が時速120km(最高速度)で走行していた事や、検知装置や信号が正常に作動していた事を確認していたようだ。

トラックは踏切の警報機が鳴る前に既に踏切内に入っており、この状況で列車が踏切の1km手前に来ると警報機が鳴る仕組みになっているという。

という事は、列車が踏切の1km手前に来た時には既にトラックは踏切内に居たのだから、検知装置が働き専用の信号機が発光していた事になる。

信号機は踏切から340m離れた場所に設置されており、踏切から600m離れた所からも運転士には確認できたはずだ。

時速120kmで走行していた場合でも、非常ブレーキをかけると列車は必ず600m以内に停止するようになっている。

列車の運転士は「信号に気付いて非常ブレーキをかけた」と話しているようだが、彼が気付いた時には既に600m地点を超えていたのではないだろうか。

ブレーキにトラブルがあったのかとも考えたが、ブレーキの異常はなかったようだ。

運転士の運転歴は1年1ヶ月と浅く、京急は運転士がどの時点でブレーキをかけたのか調査中のようだ。

 

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