予防しないとがんに進行しやすい危険な細菌・ウイルスとは?

今や2人に1人ががんに罹患すると言われている。

しかし、日本人が発症したがんの内、男性では半数以上、女性では約1/3が何らかの対策をしていれば予防できていたとされている。

その内の2大原因が喫煙と細菌やウイルス感染によるがんだ。

女性では細菌やウイルス感染によるがんが第1位で17.5%を占め、男性でも喫煙に次ぐ2位で22.8%を占めているのだ。

感染が原因でがんを発症させる代表格がピロリ菌と肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルスの3つだ。

ピロリ菌は胃がん、肝炎ウイルスは肝がん、そしてヒトパピローマウイルスは子宮頸がんを引き起こす。

これらに感染すると必ずがんを発症する訳ではないが、高確率でがんを発症している事が分かっている。

例えば胃がんの場合、日本人で胃がんを発症したほとんどの人がピロリ菌の感染が確認されており、ピロリ菌感染から萎縮性胃炎を経て胃がんに罹患している。

ピロリ菌への感染ルートははっきり分かっていないが、生まれた時代の衛生環境が影響していると考えられている。

戦時中は不衛生な環境下でピロリ菌が蔓延し、1955年生まれくらいまでの人では約60%がピロリ菌に感染しているが、環境が良くなるにつれ1960年代生まれでは40~50%に、1970年代生まれでは30~40%、2000年生まれでは10%未満にまで減少している。

 

肝がんの原因はアルコールの大量摂取などもあるが、日本人の場合ほとんどがB型肝炎ウイルスかC型肝炎ウイルスへの感染によるものだ。

肝炎ウイルスへの感染も時代による影響が大きいようだ。

肝炎ウイルスは血液や体液を介して感染するが、昔は母親が子供を出産する際に母子感染したり、輸血や血液製剤、予防接種の注射器の使い回しなどが原因で感染していた。

しかし、1980年代半ばから1990年代前半にかけて感染への予防策が取られるようになったため、現在はこのような事はない。

だが、今問題になっているのが性交渉やピアスの穴あけ、入れ墨の針刺などによる感染だ。

これは時代に関係なく若い人達にも当てはまるので、十分注意する必要がある。

 

子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルスへの感染は性交渉によるものが多く、性交渉の経験がある女性ならほとんどが一度は感染するようだ。

ヒトパピローマウイルスに感染しても多くの場合は自然に消滅するが、繰り返し感染してしまう。

ヒトパピローマウイルスは約200種類が存在し、その中で最も子宮頸がんを引き起こすのが16型と18型と言われるウイルスだ。

2,300人の女性を対象とした研究では、浸潤子宮頸がんを発症した67%の女性に、16型か18型への単独感染、あるいは他の型も含めた混合感染が見られる事が分かっている。

16型と18型に感染する確率は低いが、感染してしまうと高確率で子宮頸がんを発症してしまう恐ろしいウイルスだ。

 

では、このように胃がん・肝がん・子宮頸がんを発症する恐れのあるピロリ菌・肝炎ウイルス・ヒトパピローマウイルスへの感染予防にはどのような方法があるのか、そして感染した場合にはどのように対処すればいいのだろうか。

 


【ピロリ菌の感染予防と感染時の対処方法】

 

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)と胃がんの関係を調べた研究によると、日本人中高年期の40~69歳の4万人を15年間追跡した結果、現在の陽性者と過去も含めた陽性者の胃がんへのリスクは5~10倍にもなるようだ。

日本人中高年のピロリ菌の感染率は非常に高く、胃がんを発症した人の6~10割がピロリ菌感染者で、胃がんを発症していない人でも4~9割が感染者だと報告されている。

ピロリ菌に感染していなくても、喫煙や塩分の取り過ぎ、野菜・果物不足にも十分注意する必要がある。

では、ピロリ菌の感染予防にはどのような方法があるのだろうか。

 

「ピロリ菌の予防方法」

ピロリ菌は感染経路が特定されていないため、これといった対策法がないのが現状だ。

しかし、昔に比べ衛生環境が良くなった事で、感染率は大幅に減少している。

ただし、感染率がゼロになった訳ではないので、食べ物や飲み物には十分注意する必要がある。

特に、発展途上国で生活する場合は、水や食べ物に十分注意を払う事が感染へのリスクを抑える事に繋がるだろう。

また、ピロリ菌に感染している大人は、子供に口移しで物を食べさせるなどの行為は避けた方がいいだろう。

 

「ピロリ菌検査」

自分がピロリ菌に感染しているかどうかを確かめるためには、ピロリ菌検査を受ける必要がある。

検査には内視鏡を用いた検査と内視鏡を用いない検査がある。

 

・内視鏡を用いた検査

内視鏡を用いた検査では、生検組織を採取し、迅速ウレアーゼ試験や鏡検、培養などを行い、ピロリ菌への感染の有無を確認する。

 

・内視鏡を用いない検査

内視鏡を用いない検査では、尿素呼気試験や抗ピロリ抗体測定(血液)、便中ピロリ抗原測定などを行い、ピロリ菌への感染の有無を確認する。

 

「除菌療法」

ピロリ菌に感染していた場合は、除菌療法という治療を行い、ピロリ菌を除去する事ができる。

2種類の抗生物質と胃酸を抑える薬を、朝と夕方1日2回1週間続ける事で、約80~90%の人がピロリ菌を除去する事ができる。

除菌できたかどうかは、除菌治療後4週間以上あけて検査をする事で確認できる。

 

「定期的な胃の検診」

ピロリ菌を除菌できたとしても将来胃がんを発症する場合もあるので、定期的に胃の検査を受ける事が大切だ。

早期発見できれば約98%が完治可能なので、いかに早く発見するかがとても重要になる。

 


【肝炎ウイルスの感染予防と感染時の対処方法】

 

先ほど話したように肝がんを発症する原因は、アルコールの大量摂取もあるが、日本人の場合ほとんどがB型肝炎ウイルスかC型肝炎ウイルスへの感染によるものだ。

肝がんの原因の約80%を占めるC型肝炎ウイルスの場合、感染しても直ぐに発症する訳ではなく、20~30年をかけて慢性肝炎になり、その後肝硬変、肝がんへと進行していく。

これは肝臓に障害が起き、繰り返し細胞が破壊される事で遺伝子に異常が起こり、肝がんに進行すると考えられている。

C型肝炎ウイルスに感染した人の約70%が持続的に感染状態となり、慢性肝炎を発症する可能性がある。

そして、慢性肝炎の約半分が肝硬変や肝がんに進行すると言われている。

もし肝がんに進行した場合、5年生存率はステージⅠで約83%、ステージⅡで約70%、ステージⅢになると約44%まで下がってしまう。

そのため、肝がんを予防するためには肝炎ウイルスへの感染を予防する事が重要で、もし感染した場合は肝がんへの進行を予防する治療を行う必要がある。

 

「肝炎ウイルスの予防方法」

B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染する。

感染経路としては、鍼治療やピアスの穴あけ、入れ墨、ヒゲ剃り、脱毛などがある。

また、性交渉の際に体液や微量の血液が粘膜から体内に入る場合や、出産の際に母子感染する場合もある。

予防方法としては、ヒゲ剃りやバリカン、ピアッサーなどを他人と共有しない事、もし共有しなければならない時は十分に洗浄・消毒を行う事が大切だ。

タオルや歯ブラシなども同様なので、極力他人と物を共有しないように心掛ける必要がある。

B型肝炎ウイルスの場合は、ワクチンを接種するのも有効な予防法となる。

 

「肝炎ウイルス検査」

肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染するので、血液検査で確認する事ができる。

ただ、普段受けている健康診断には通常入っていないので、別に検査を受ける必要がある。

自治体などによっては無料で検査を受ける事ができるので、かかりつけの内科や保健所に一度確認するといいだろう。

 

・その他の検査方法

下記の検査キットを使用すれば、病院に行かなくても検査をする事ができる。

 

 

この検査キットは、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスへの感染だけでなく、HIVへの感染も確認する事ができる。

検査方法は簡単で、指などから自分で血液を採取し、後は検査センターに郵送するだけでOKだ。

検査結果は検査終了後、約1週間ほどで郵送してくれる。

また、希望すればスマホやパソコンに検査結果を送信してもらう事もできる。

 

「感染時の対処方法」

検査結果が陽性であれば、いずれかの肝炎ウイルスに感染している可能性が高いので、その場合は更に詳しい検査を行う。

もし感染していても肝炎を発症していない場合は、定期的な検査で経過観察を行い、発症が見られたら治療を開始するという流れになる。

また、病原体の増殖を抑えるインターフェロンや、抗ウイルス薬リバビリン、ペグインターフェロンという治療法などにより、治療効果は大幅に上昇している。

ウイルスそのものを除去できなくても、肝細胞の破壊を抑え、肝がんへの進行を予防する治療もできるようになっている。

更に、最近ではコーヒーが肝がん予防に効果がある事が分かっており、コーヒーを1日に2杯飲む人は肝がんの発症リスクが約半分に低下する事が分かっている。

 


【ヒトパピローマウイルスの感染予防と感染時の対処方法】

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉によって感染するウイルスだ。

性交渉の経験がある女性なら、ほとんどの人が一度は感染し、感染しても症状が出ないという特徴がある。

ヒトパピローマウイルスには約200種類があり、感染しても多くの場合は自然に消滅するが、繰り返し感染してしまう。

そして約200種類あるウイルスの中で、子宮頸がんを引き起こすハイリスクなものが13種類ある。

この13種類のヒトパピローマウイルスは、持続的に感染しやすく発がんしやすいという特徴がある。

その中でも最も危険なヒトパピローマウイルスが16型・18型と言われるウイルスだ。

この16型と18型に感染する確率は低いが、もし感染した場合、約5年という短い期間で子宮頸がんを発症するという特徴があり、浸潤子宮頸がんを発症した67%の女性に、16型か18型への単独感染、あるいは他の型も含めた混合感染が見られる事が分かっている恐ろしいウイルスだ。

子宮頸がんを予防するためには、先ずはこの16型と18型に感染しているかどうかを確かめる必要がある。

 

「ヒトパピローマウイルス検査」

ヒトパピローマウイルス検査には幾つか種類があるが、一般的にはハイブリッドキャプチャー法とPCR法を用いる。

 

・ハイブリッドキャプチャー法

ハイブリッドキャプチャー法は、ハイリスクなヒトパピローマウイルスが検出されるかどうかを調べる検査だ。

13種類のハイリスクな種類のいずれかが検出された場合に陽性反応を示すようになっているが、どの種類に感染しているかどうかを調べる事はできない。

 

・PCR法

PCR法は、感染しているヒトパピローマウイルスの種類を判定する事ができる。

 

・その他の検査方法

病院に行かなくても下記の検査キットを使用すれば、自分で簡単にヒトパピローマウイルスへの感染を確認する事ができる。

 

 

検査方法は簡単で、自分で検体を採取した後、検査申込書に記入し、後は郵送するだけで後日検査結果を郵送してくれるようになっている。

 

「感染予防」

ヒトパピローマウイルスは、一度感染したら根治する方法は残念ながら無い。

しかし、ワクチン接種によりヒトパピローマウイルスへの感染を予防する事ができるので、感染する前に事前にワクチンを接種する事が効果的だ。

現在、16型と18型の2種類に対するワクチン、6型と11型(がんを引き起こすリスクは低いが、尖圭コンジローマのリスクがある種類)も含む4種類に対するワクチンが国内で接種可能になっている。

推奨年齢は、小学6年生から高校1年生になっている。

中学1年生で初回接種をした場合、そこから1~2ヶ月の間隔をあけて2回目を接種し、初回接種の6ヶ月後に3回目を接種するといった流れになる。

 

「感染時の対処方法」

先ほど話したように、現在の医学ではヒトパピローマウイルスを根絶する方法は無い。

しかし、日常生活の中でウイルスの増殖を抑える事は可能だ。

例えば風邪を引かないようにする、過労で体を壊さないといった事に気を付け、免疫力を低下させない事が大切だ。

また、喫煙はウイルスを増殖させる要因になるので、禁煙する事も重要になる。

喫煙は、免疫力を低下させる事からウイルス増殖を引き起こしやすくなり、発がんリスクも高まる。

もし子宮頸がんを発症した場合、ある病院での5年生存率はステージⅠで100%、ステージⅡは78%、ステージⅢは52%、ステージⅣでは0%となっている。

子宮頸がんを発症しても早期に発見できれば根治できる可能性が高い。

ワクチンを接種していても100%発がんを防げる訳ではないので、定期的な検診を受けるよう心掛けよう。

 

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