【神戸市北区男子高校生殺人事件】
神戸市北区男子高校生殺人事件は、2010年(平成22年)に兵庫県神戸市で発生した殺人事件である。
2010年10月4日午後10時45分頃、兵庫県神戸市北区筑紫が丘4丁目の路上で、近くに住んでいた高校2年生の堤将太くん(当時16歳)が、男にナイフで刺され殺害された。
当時、堤くんは、知人の中学3年生の女子生徒と路上で話をしていた。
そこに刃物のようなものを持った男が無言で近づいてきて、いきなり襲われた。
女子生徒は、堤くんがとっさに逃がしたため無事だった。
そして、しばらくして女子生徒が現場に戻ってみると、堤くんは血を流して倒れており、それを見た女子生徒が通報した。
発見時、堤くんは、襲われた自動販売機前の路上から約70m離れた横断歩道の上で倒れており、薄れる意識の中で刺した男を追いかけたと見られる。
路上には血痕が点々と続いており、自動販売機周辺には血痕や足跡が残っていた。
堤くんは、首や肩を数ヶ所刺されており、病院に搬送されたが、約1時間半後に搬送先の病院で死亡が確認された。
女子生徒によると、「(堤くんと)一緒に缶ジュースを飲んでいたら、車道を挟んだ向かい側の車止めのポールに座っていた男が、じっとこちらを見ていた。」という。
凶器と見られる刃渡り10cm(全長約20cm)のナイフは、現場から南西にある住宅街の側溝から発見されており、男が逃げる途中に捨てたと見られる。
このナイフは、大手スーパーのチェーン店向けに大量生産されたものだった。
ナイフからは血液が検出され、鑑定の結果、堤くんのDNAと一致した。
堤くんが刺された現場は、戸建ての住宅が建ち並ぶ自宅近くの路上だった。
近隣住民は、堤くんが発したと思われる「いったー」・「助けてくれ」などの声を聞いている。
堤くんの周辺では、殺人事件に繋がるようなトラブルは確認されておらず、通り魔による犯行なのか、何らかの恨みを持つ人物の犯行なのかは分かっていない。
だが、女子生徒と堤くんは会話の途中、10mほど離れたところに座っている男に気付き、女子生徒が「あの人なんだか気持ち悪いね。」とつぶやき、堤くんも「そうだね。」とうなずいた。
その直後、男が立ちあがり、2人の方に近づいてきたという。
もしかすると、2人の会話が男に聞こえたのか、それとも2人が男の方を見た事が気に入らなかったため、犯行に及んだ可能性も考えられる。
神戸北警察署は、女子生徒の証言をもとに犯人の似顔絵を作製し、公開しているが、未だ犯人に結び付くような有力な情報は得られていない。
同署は、
・犯人を知っている、犯人に心当たりがある
・事件・犯人を目撃した、不審な人物を見かけた
・ナイフの購入者に心当たりがある
・犯人や事件に関する話を聞いた事がある
などの情報提供を呼び掛けている。
<連絡先>
兵庫県 神戸北警察署 刑事課
「神戸市北区における男子高校生殺人事件」捜査本部
電話:(078)594-0110(代表)
「犯人の情報」

・当時の年齢:20代後半から30歳くらい
・性別:男
・体格:小太り
・身長:160~170cmくらい
・当時の服装:ジャージのような服を着ていた
「現場の地図」

「この事件の不可解な点」
・堤くんの周辺では、トラブルなどは確認されておらず、犯人に金品を奪われた訳でもない。
では、犯人の目的は何だったのだろうか。
・犯人が堤くんに何らかの恨みを持っていたと仮定した場合、普通なら堤くんが1人の時に犯行に及ぶだろう。
しかし、犯人は女子生徒と2人でいる時に犯行に及んでいる。
顔を見られる可能性も高いし、通報される可能性も高いし、他の誰かに目撃される可能性もある。
なぜ、そのような危険を冒してまで犯行に及んだのだろうか。
・凶器のナイフは、事件発生から約1週間後に、現場から南西に約100m離れたところの側溝から発見されている。
しかし、捜査本部によると、側溝には鉄製のフタがあり、事件発生直後に多数の警察官を動員して凶器を捜索し、凶器が発見された側溝も確認しているが、その時は側溝内にナイフはなかったという。
捜索で見落としていないのであれば、犯人がナイフを一旦持ち帰り、警察の捜索後、側溝に捨てた事になる。
危険を冒してまで、わざわざ現場近くに捨てにくるだろうか。
だが、ナイフには目に見える血痕はなく、指紋も検出されなかった事から、犯人が血や指紋を拭き取るなどの隠ぺい工作をした可能性はあるという。
更に、犯行後の犯人の目撃情報が全くないのも、この事件の特徴となっている。