マダニ感染症が過去最多に!人やペットから感染する事もある!

ダニ媒介感染症とは、病原体を持っているダニに咬まれる事で起こる感染症の事を言い、ダニがウイルスや細菌などを持っている場合、咬まれると病気を発症する事もある。

ダニの中でも特に注意が必要なのがマダニだ。

マダニに咬まれると、日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気を発症する恐れがあり、重症の場合は死に至る事もある。

今年は、SFTSを発症した患者が全国で92人と過去最多になっており、特効薬がない事から致死率は20%にも上る。

これらの病気を防ぐためには、マダニに咬まれない事が重要になる。

そこで、ここではマダニの生態やマダニ対策、マダニに咬まれた場合の対処法を紹介しようと思う。

 


【マダニの生態】

 

フタトゲチマダニの写真
出典:国立感染症研究所

 

 

フタトゲチマダニの写真

 

 

 

マダニは、クモ綱ダニ目マダニ亜目マダニ科の節足動物の総称で、体は顎体部と胴体部の2つに分かれており、胴体部に4対の計8本の足(幼虫期は6本足)が付いている。

他のダニに比べ体が大きく、通常でも2~3mmほどあり、肉眼でもはっきり見る事ができる。

マダニは、ハーラー器官と言う感覚器を持っており、人や動物から発せられる匂いや体温、体臭、物理的な振動に反応し、草などから生物の上に飛び降り吸血する。

人や動物に取り付くと皮膚にしっかり口器を突き刺し、数日から長い時は10日以上吸血し続ける。

マダニに咬まれてもあまり痛みやかゆみを感じないため、咬まれている事に気付かない場合も多い。

吸血後は体の大きさが100倍以上になり、1cmを超える大きさにまで膨れ上がる。

マダニは、梅雨のジメジメした蒸し暑い時期が主な活動時期だと言われていたが、最近では一年中活動する事が分かっているので、寒い冬にも注意が必要となる。

 

 


【日本に生息するマダニの種類と発症する病気】

 

日本には、キチマダニ・フタトゲチマダニ・オオトゲチマダニ・タカサゴキララマダニ・ヤマトマダニ・シュルツエマダニの6種類のマダニが生息しており、オオトゲチマダニを除く5種類が人に吸血する。

これらのマダニに咬まれると、日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、野兎病(やとびょう)、ライム病などの病気を発症する恐れがある。

野兎病は、野兎病菌を原因とする人獣共通感染症で、人やウサギ(野兎)、プレーリードッグや野生齧歯類などに感染する。

日本では野兎との接触による感染が多いため、野兎病という名前が付けられている。

国内では1999年の千葉県での感染を最後に感染報告はなかったが、2008年に青森県・福島県・千葉県で計5例の感染が報告されている。

 

ライム病は1986年に初めて国内で感染が確認されて以降、これまで数百人の人の感染が報告されており、主に本州中部より北で発生しており、特に北海道と長野県で感染者が多い。

ライム病は病原体を持った野ネズミや鳥をマダニが吸血する事でマダニに移り、そのマダニに人が咬まれると感染するが、国内で死亡が確認されているのはこれまで1例だけのようだ。

この病気には、抗菌薬による治療が有効のようだ。

 

日本紅斑熱とSFTSは、国内での感染報告が多く、毎年のように死亡者が確認されている。

 

「日本紅斑熱とは?」

日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)は、リケッチア・ジャポニカ(日本名は日本紅斑熱リケッチア)という細菌により発症する病気で、全国では毎年100人以上の感染者が報告されている。

この病原体を持っているダニに咬まれる事で人に感染するが、人から人へ感染する事はない。

マダニに咬まれてから2~8日ほどで高熱と発しんを発症し、重症の場合は死に至る事もある。

この病気には、テトラサイクリン系の抗菌薬が著しく有効のようで、日本紅斑熱が疑われた場合には、直ちに抗菌薬の投与が勧められる。

 

「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?」

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年に中国の研究者らにより発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症だ。

国内で初めて感染が確認されたのは2013年1月で、海外渡航歴のない人がSFTSウイルスに罹患していた。

日本以外では中国と韓国で確認されている。

検査の所見では、白血球の減少や血小板減少、AST・ALT・LDHの血清逸脱酵素の上昇が多く見られ、血清フェリチンの上昇や骨髄での血球貪食像も認められることがあるようだ。

SFTSウイルスに感染すると、6日~2週間の潜伏期間を経て発熱(38℃以上の高熱になる場合もある)や食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が多く現れる。

この他にも頭痛や筋肉痛、意識障害などの神経症状、リンパ節腫脹や皮下出血、下血などの出血症状を起こす。

また、SFTSウイルスは、SFTSを発症した犬などからも人に感染する恐れがあり、SFTS患者との接触により人に感染する場合もある。

この病気には有効な薬やワクチンがなく、致死率は20%にも上る。

 

・SFTSウイルスはどこからやって来たのか?

国立感染症研究所の研究グループがSFTSウイルスの遺伝子型を調べたところ、国内で確認されたほとんどのSFTSウイルスの遺伝子は中国のものと異なっており、独自の進化を遂げてきた事が分かった。

しかし、最近の調査で中国型のウイルスも、数は少ないが日本国内に存在している事が分かり、現在の所では鹿児島県・島根県・和歌山県で見つかっている。

中国型が日本に存在する考えられるケースとしては、野鳥などがSFTSウイルスを持ったマダニを海を越えて運んでくるケースだ。

山口大学の共同獣医学部の前田健教授などの研究グループは、山科鳥類研究所と共同で渡り鳥などの野鳥の調査を北海道、新潟県、鹿児島県で進めており、複数の種類のマダニがアオジなどの渡り鳥に付いていた事が確認されている。

前田健教授は「ウイルスを持ったマダニが野鳥によって運ばれるということになれば、今後、まだ感染者が出ていない地域でも突然、患者が発生することは考えられる。」と話していた。

 

 


【マダニ対策】

 

マダニは日本全国に生息しており、特に鹿やイノシシなどの野生動物がいる野山などに多く生息している。

しかし、公園やキャンプ場、家の裏山、裏庭などの身近な草むらなどにも生息しているので、そのような場所に入る場合は次のような対策を心掛けよう。

 

「対策1」

長袖・長ズボン・手袋・長靴などを着用し、長ズボンの裾は長靴の中に入れるようにしよう。

色の薄い服を着ていると服に付いたマダニを見つけやすいので、これも有効な方法だ。

しかし、いくら対策をしていても、草むらや藪に長時間座ったり寝転がったりするのは止めよう。

また、帰宅後は着ていた服などをできるだけ家に持ち込まないようにし、直ぐに洗濯するかビニール袋に入れ、口を縛るようにしよう。

更に、帰宅後は直ぐに入浴し、体にマダニが付いていないかチェックしよう。

 

「対策2」

肌が露出した部分や服に、ディートやイカリジンなどの有効成分を配合した虫よけスプレーを吹きかけておくのも有効だ。

ディートは、蚊やダニ、マダニ、アブ、ブヨ、サシバエ、ノミ、ツツガムシなどに有効な虫よけ剤だ。

イカリジンは、主に蚊、ブヨ、アブ、マダニに有効な虫よけ剤となっている。

 

・ピジョン虫よけジェルタイプ(ディート配合)

 

 

 

・ライオンケミカル虫よけスプレー(ディート配合)

 

 

 

・フマキラーお肌の虫よけスキンベープミスト2本セット(ディート配合)

 

 

「対策3」

SFTSウイルスは、SFTSを発症した犬などからも人に感染する恐れがあり、最悪の場合、家族全員がSFTSウイルスに感染してしまう恐れもあるので、犬や猫などのペットも野山や草むらに連れて行くのは控えた方がいいだろう。

どうしても連れていかなければならない場合は、下記のようなペット用の虫よけ剤もあるので、事前にペットのマダニ対策をしておくのが良いかもしれない。

 

・アースサンスポット(犬猫用)

 

 


【マダニに咬まれた場合の対処法】

 

マダニの多くは、人や動物に取り付くと皮膚にしっかり口器を突き刺し、長時間吸血する。

無理に引き離そうとすると、マダニの体の一部が皮膚に残ったり、マダニの体内や傷ついた皮膚から出る液体が付着したり人の体内に入ったりし、病原体に感染する恐れがあるので、マダニを手で直接取ったり潰したりしないようにしよう。

マダニに咬みつかれた場合は、直ぐに病院に行き、処置してもらうようにしよう。

また、咬まれてから数日~2週間ほどで発熱や発しんなどの症状が現れた場合は、速やかに病院を受診し、その際には、野山や草むらに入った事を医師に伝え、適切な処置を受けるようにしよう。

 

 

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