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【世田谷一家殺人事件】

世田谷一家殺人事件は、2000年(平成12年)に東京都世田谷区で発生した一家殺人事件である。
2000年12月30日の午後11時頃から翌31日の未明にかけて、東京都世田谷区上祖師谷3丁目に住んでいた一家4人全員が殺害された。
家族構成は、父親(当時44歳)、母親(当時41歳)、長女(当時8歳)、長男(当時6歳)。
「犯人の行動」
(行動1:侵入経路)
犯人は、被害者宅の裏側にある2階の浴室の窓から侵入したと見られているが、普通に被害者宅を訪れ、玄関から侵入した可能性もあるという。
(行動2:殺害後の行動)
犯人は4人を殺害後、直ぐに現場を離れず、犯行時にケガした右手の手当をしており、被害者宅の冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶やメロン、アイスクリーム4個を食べたと見られている。
また、2階の居間のソファーの上にキャッシュカードなどのカード類が置かれ、その近辺には銀行の預金通帳や手帳、運転免許証などの生年月日が分かる書類などが仕分けされて置かれていた。
そして、戸棚や机の引き出しを下から順に開け物色した形跡も残されている。
更に、2階の浴室の浴槽の中には父親の仕事の書類や領収書、母親の塾の書類、傷口の止血に使用された生理用品、タオル、アイスクリームのカップが散乱していた。
浴槽に散乱していた書類や広告チラシは、ハサミや手で引きちぎられていた。
この事から犯人は家中を物色し、不要な物を浴槽に捨てたのではないかと見られている。
2階のトイレ前には、浴槽に散乱していた書類が入っていたと見られる引き出し1段が置かれていた。
犯人は、トイレも使用しており、トイレで被害者宅にあったバッグを物色したと見られている。
また、2階の居間のソファーで仮眠した形跡があり、1階の書斎にあったパソコンを使用した形跡も残されている。
(行動3:逃走時間や逃走後の足取り)
犯人は、31日の午前10時過ぎから警察に通報があった10時56分までの間に逃走したと見られていたが、再検証により犯人が確実にパソコンを操作した午前1時18分頃の後に逃走した可能性もあるとして捜査が行われている。
逃走後の移動手段や経路については現在のところ分かっていない。
「現場検証で分かっている事」
・浴室の窓は開いたままで、網戸は外れて落ちた状態になっており、窓の真下の地面から犯人の靴跡によく似た大きめの足跡が発見されている。
また、窓の真下の公園のフェンス(家裏にある公園のフェンス)付近にある木の枝も折れていた。
・若者であれば2階の浴室窓から侵入する事は容易である事が分かっている。
・被害者宅の救急箱が物色されており、その中にあった絆創膏やタオルを使用し、犯行時にケガした右手の手当をしている。
・冷蔵庫に入っていたペットボトルのお茶やメロン、アイスクリーム4個を食べている。
冷蔵庫内のビールは手つかずだったため、犯人は飲酒をしない可能性がある。
・犯人はトイレを使用し、トイレで被害者宅にあったバッグを物色したと見られている。
・犯人は自分に不要な書類や使用したタオルなどを2階浴室の浴槽内に捨て、書類などはハサミや手で引きちぎっている。
・戸棚や机の引き出しを下から順に開け物色し、2階の居間のソファーの上にキャッシュカードなどのカード類を置き、その近辺には銀行の預金通帳や手帳、運転免許証などの生年月日が分かる書類などが仕分けして置いている。
・浴槽に散乱していた書類が入っていたと見られる引き出し1段をトイレ前に運んでいる。
・2階の居間のソファーで仮眠している。
・1階の書斎にあったパソコンを使用している。
犯行時刻以降の午前1時18分頃と午前10時5分頃にインターネットに接続されている事が分かっており、接続時間はいずれも5分程度と短かった。
また、パソコンのマウスからは犯人の指紋が検出されたがキーボードからは検出されておらず、パソコンの電源ケーブルは抜け落ちていた。
・犯人は被害者宅の物色中にガムを噛んでいた。
・台所に犯人がお茶を飲む時に使用したと見られるコップが置かれていた。
・犯人がトイレを使用した際に残っていた大便からインゲンとゴマ、野菜のゴマ和えが検出されており、被害者一家の胃の内容物とは異なっている。
・現場に残されていた血痕から、犯人はA型の人物だという事が分かっている。
「殺害状況」
・父親の遺体は1階の階段下、母親と長女は屋根裏部屋下にある2階の踊り場付近、長男は二段ベッドの下段にうつ伏せになった状態に布団をかけられた状態で発見された。
・父親、母親、長女は全身を負傷しており、屋根裏部屋の布団から母親と長女の血痕が発見されている。
・長男は首を絞められて殺害されており、首の圧迫痕と鼻血以外の外傷はなかった。
・長女の血の付いたティッシュペーパーが発見されている事から、母親が負傷した長女を手当てしている事に気付いた犯人が再び襲った可能性がある。
・犯人は自分が持ってきた柳刃包丁で父親を殺害したが、その際に包丁の先端が数ミリ欠け、その後完全に折れている。
・母親と長女は、折れた柳刃包丁で負傷させられ、その後被害者宅にあった文化包丁で殺害されている。
「目撃情報」
31日の午後5時26分に東武日光駅着の快速電車に乗っていた30歳くらいの男が、駅の事務室で治療を受けていた事が分かっている。
この男は右手に骨が見えるほどの大ケガをしていたという。
男の特徴は、身長175cmくらいで、黒のダウンジャケットにジーンズを履いていた。
ケガの原因や名前は分かっていない。
「事件当時の犯人の服装」

事件当時、犯人は上写真のような服装だったと思われる。
「現場に残されていた遺留品や犯人の所有物」
・トレーナー

犯人が着ていたと見られる大量の返り血の付いたトレーナーが、2階の居間からキレイに畳まれた状態で発見されている。
サイズはLサイズで、身長175~185cmの人用で、胴体部分がグレー、両腕と首部分が紫色の物。
使い古した形跡があり、色あせていたという。
このトレーナーは、発売から事件当日まで全国で130着、都内では10枚しか販売されていない、ごく限られた物だという事が分かっている。
当時、都内で販売していた店は、
・京王線聖蹟桜ヶ丘駅前にあった「M/X聖蹟桜ヶ丘店」(3着販売)
・京王八王子駅ビル内にあった「M/X八王子京王SC店」(2着販売)
・JR荻窪駅ビル内にあった「マルフル荻窪店」(3着販売)
・京成線青砥駅ビル内にあった「マルフル青戸店」(2着販売)
の4店舗だが、M/Xとマルフルは現在は営業していない。
・ダウンジャケット

袖口に犯人と同じA型の血液型の汗が付着した黒色Lサイズのユニクロ製のダウンジャケットが発見されている。
ポケットの中からは、馬堀海岸、北下浦海岸、三浦海岸のいずれかの砂やケヤキ・ヤナギの枯れ葉、飼育用のエサを食べたと思われる小鳥の糞などが発見されている。
・柳刃包丁

凶器に使用されたと思われる刃渡り21cm、全長約34cmの柳刃包丁が発見されている。
この包丁は全国の量販店やディスカウントショップで販売されており、現場付近のスーパーでも販売されていた。
・ハンカチ

柳刃包丁を包んだり、犯行時に包丁の滑り止めに使用されたと思われる2枚の黒色のハンカチが発見されている。
中心部に3cmほどの切れ目があるもの、マスクやバンダナとして使用したと見られるもの、20数ヶ所の穴が開いたものなど。
・ヒップバッグ

外側と内側に刃物による20数ヶ所の傷がついた深緑色のヒップバッグが発見されている。
フタが付いたタイプのヒップバッグで、ベルトの長さが83cmだった事から、胴回りが70~75cmの痩せ型の人物が使用していたのではないかと推定されている。
ヒップバッグの中から、石英を含んだ砂や印刷機のロールに装着するインクの汚れ防止用フィルム、ビーズ、銅、金属シリコンなどの小さな粒が大量に見つかっている。
また、ヒップバッグの中からは現場に残されていた犯人のものと思われる頭髪とDNAが一致する頭髪も見つかっている。
見つかった頭髪は、長さ約2.5cmのものと長さ約1.5mmの2本。
長さが約2.5cmの頭髪は黒色で、抜け落ちたのではなく、切断されたものと見られる。
長さが約1.5mmの頭髪は黒褐色で、両端がバリカンのようなもので切断されたものと見られる。
この事から犯人の頭髪は、ヒップバッグを着装していた時期に、黒色または黒褐色だったと考えられる。
・帽子(クラッシャーハット)

灰色で毛糸織りの黒色ライン入りが入った帽子。
・マフラー

緑色地に赤・黒・オレンジ・濃緑色の格子柄が入ったもの。
・手袋

黒色のフリーサイズのもの。
・運動靴

日本サイズは27.5cmで、メーカーはスラセンジャー(Slazenger)で韓国製のもの。
・香水

この香水は、凶器を包んでいたハンカチに付着していたもので、フランス製の「ドラッカーノワール」。
「2001年に発見されたお地蔵様」

被害者宅にあった東南アジア産出の花崗岩で作られた上写真のお地蔵様が、世田谷区上祖師谷4丁目の仙川沿いの遊歩道脇に置かれていたのが2001年(平成13年)4月9日に発見された。
お地蔵様の底と台座上部に「六」の文字のようなものが彫られており、指紋は採取されなかった。
成城警察署は、このお地蔵様の製造・輸入・販売などの情報を求めているようだ。
「現場の写真」

「事件に関する情報提供」
この事件の犯人に結び付く最も有力な情報を、情報提供先に提供した人には、最大2,000万円の懸賞金が支払われる。
・捜査特別報奨金 上限額300万円
・上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件の捜査に協力する会 懸賞金上限額1,700万円
<情報提供先>
警視庁成城警察署
上祖師谷三丁目一家4人強盗殺人事件特別捜査本部
電話:03-3482-3829(直通)
電話:03-3482-0110(代表)